欠けが新たな景色に変わるまで。本漆金継ぎ3回体験レポート

こんにちは、うづまこ金継ぎ教室です。

 

港区の東京タワー近くにある

うづまこ陶芸教室の2階にあります。

 

JR田町駅や都営地下鉄三田線三田駅、大江戸線赤羽橋駅から

徒歩圏内です!

 

大切な器が割れてしまった、欠けてしまった…

 

お気に入りだったのに━━

使いやすかったのに━━

 

そんな時、皆さんはどうしていますか?

 

捨てるしかない…と思っている器に、

 

新たな命を吹き込む日本の伝統技術「金継ぎ」。

 

今日は、

本漆を使った金継ぎを3回で体験された

お客様の様子をレポートします。

 

非日常への入口━━金継ぎ体験が始まる場所


 

都心のオフィス街を抜け、

ひっそりと広がる住宅街にある教室。

日常の喧騒から離れ、金継ぎという

非日常に集中するにはぴったりの場所です。

 

細い廊下を通り抜け教室へ足を踏み入れると、

漆の香りにふんわりと包まれる。

 

・今日から3回かけて繕う器、

 

・ヘラ、筆、

 

・そして主役である漆のチューブ…。

 

初めて、やること、扱うものに

ワクワクと、ちょっとの緊張━━

 

「自分で直せるなんて」

「どんな風になるんだろう」

 

そんな期待と、ちょっぴりの

不安が入り混じった表情で、席に着かれました。

 

「実は、簡易金継ぎの体験は

 地元でやったことがあるんです。

 本物の漆を使えるって

 ホームページでみつけてきました!」

 

そう、金継ぎ体験をやっている場所はけっこうあります。

だけど体験で本漆を使っているところは

珍しいんですよね。

 

そんな中、うづまこ金継ぎ教室では

本漆を使用していきます。

欠けを埋めるパテも漆を使って作っていきます。

 

本格的な金継ぎの工程を少しでも

体験してほしいな~と思い、

本うるしの3回体験を作りました。

 

本来の工程をギュギュっと

短縮して、3回にしています。

 

【1回目】始まりは「けずる」作業から


 

さあ、いよいよ作業開始です。

金継ぎには、漆の木の樹液である「漆」を使います。

肌に触れると「かぶれる」こともあるため、

手袋を着用して、慎重に扱います。

 

「顔や髪、スマホなど直接触らないでください。」

 

「気を付けて進めていきましょう。」

 

本漆金継ぎの最初のステップは、

お猪口の欠けてしまった部分を「埋める」。

その前に、

なんと!一旦「削る」のです。

 

ヤスリを使って、欠けたところの形を整えていくんですね。

仕上がりのラインが、ここで決まっていくので

大事な工程です。

説明を聞きながら、注意深く整えていきます。

 

削りが終わったら、欠けて失われた部分を埋める作業です。

金継ぎの欠け埋めでは、

漆に木の粉や土の粉を混ぜた「刻苧漆(こくそうるし)」や

錆漆(さびうるし)」を使用します。

 

欠けの大きさや深さに合わせて使い分け、

失われた形を想像しながら埋めていきます。

 

3回体験の小さな欠けには、「錆漆」がちょうどいいです。

作った錆漆で欠けを埋めていきますが、

錆漆は泥みたいな見た目をしていて、

埋めていくうちにどんどん黒くなっていきます。

 

「これが本当に綺麗になるのかな…」

 

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

(大丈夫ですよ!ご安心ください^^)

 

 

お客様は、講師の私がビックリするほど

丁寧に形を再現されていました。

 

こんなに丁寧に進めてくださると、

こちらも熱が入ってしまい

「もう少し綺麗に整うハズです!」

と、ついスパルタ指導になってしまいました。(笑)

 

全ての作業が終わった器は、

漆を固めるための「室(むろ)」と呼ばれる保管棚へ。

 

漆は湿度と温度がある場所で固まる、

という特性のため専用の保管場所を用意しています。

 

1回目の作業を終えて、お客様からは

「細かい作業が楽しい!」と言っていただきました。

自分の手で器と向き合った、金継ぎの第一歩ですね。

 

【2回目】形を整え、漆を塗って金蒔き


1回目の作業から一週間後、

固まった漆の状態を確認するところから2回目はスタートです。

しっかり固まった錆漆は、触るとカチカチになっています。

 

ここからは、盛り上がったり

はみ出たりした漆の部分を削って、

器の形に馴染ませていく「研ぎ」の作業が中心です。

 

クリスタル砥石という、目の細かい軽石のような

専用の砥石を使っていきます。

 

前回の作業で、かなり形ができていたので、

研ぎはあっという間に終わりました。

 

形が整ったら、いよいよ色漆の登場です。

 

赤色漆(あかいろうるし)」を、

これまでの修理の線に沿って丁寧に塗っていきます。

 

なぜ赤色の漆を塗るのかというと、

この上に金を蒔いた時に、より金の色が映えるためだと言われています。

 

細い筆を使って、滑らかな線を描くように塗る作業に、

お客様は真剣な眼差しです。

 

修理の線が鮮やかな赤色になることで、

器の傷がまるで新しいデザインになったかのように見え始めます。

 

いよいよ、金継ぎのハイライト「蒔き(まき)」の作業!

赤色漆の上に、金属粉を蒔きます。

 

今回使うのは、真鍮粉という金色の粉です。

金粉を蒔くこともできます。

その場合は、より上品な仕上がりになるでしょう。

 

筆に粉を含ませ、漆を塗った部分に優しく落としていきます。

この瞬間、お客様の目が輝きました。

 

「わあっ!」という小さな歓声が上がることがよくあります。

漆に粉が付着する様子は、まさに魔法を見ているよう。

粉が乗ったら、さらに上下左右様々な方向から

金を乗せていき隈なく蒔いていきます。

最後に余分な粉を払って、今日はおしまい。

 

【3回目】磨き、完成へ!


2週間後、仕上げの日です。

この日までに、うづまこスタッフが「カタメ」という作業をして、

金属粉が剝がれにくくしています。

 

今日は仕上げの一手、「磨き」です。

メノウ(天然石)で、前回蒔いた真鍮粉の上を磨いていきます。

石を使って粉の凹凸を滑らかにしていくんですね。

 

この工程によって、金色の輝きが増していきます。

 

そして…ついに完成です!

割れて痛々しい姿だった器が、

たった3回の体験で、金色が美しく入った、

世界に一つだけの器へと生まれ変わりました。

 

お客様が自分の手で蘇らせた器を、

愛おしそうに眺める姿がとってもステキで印象的でした。

うづまこ金継ぎ教室

 

P.S.

 

皆さんも、お家に眠っている

「いつか直したいな」と思っている器はありませんか?

 

うづまこ金継ぎ教室では「体験コース」だけでなく、

ご自分の器を繕う「会員コース」もございます。

 

金継ぎを通して、

その器に新たな物語を与えてみてみませんか。

 

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